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前田 千絵先生のインタビュー
2026.04.27

「1,000人の患者さんを守りたい」――突然の破産から4ヶ月、自己資金で再建した前田先生の覚悟

横浜センター北せせらぎ美容皮膚科 前田千絵院長が語る、肌と美容のかかりつけ医としての使命

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横浜センター北せせらぎ美容皮膚科
シミ治療ニキビ治療ヒアルロン酸注入肌育注射糸リフトボトックス

センター北で地域密着の保険診療も自由診療も行い、皮膚科から形成外科まで幅広く「肌と美容のかかりつけ」を目指す横浜センター北せせらぎ美容皮膚科。前職クリニックの突然の破産から、わずか4ヶ月で自己資金により再建を果たした前田千絵院長に、診療スタイルへのこだわりや再建にかけた想い、そしてプライベートまで伺った。

保険診療から美容外科まで、肌と美容の「かかりつけ医」を目指して

――改めて、クリニックの紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。

センター北で地域密着の保険診療も自由診療もできる、皮膚科から形成外科まで幅広く「肌と美容のかかりつけ」を目指してやっています。もともと形成外科医で保険診療をしていたこともあり、保険診療の良さである「人を助けてあげられる」という部分を大事にしたいんです。例えば、やけどや切り傷をして救急病院を受診すると、2〜3時間待ちになってしまうなど結構大変ですよね。そうした時に「すぐどうぞ」と診られる場所でありたいと思っています。また、傷が縫われた後に「この傷跡が気になる」となった時、どこに行っていいか迷う患者さんも多いと思うので、傷跡についてもご相談いただけるクリニックでありたいです。

日々のスキンケアから根本的なケアを目指す、こだわりの診療スタイル

――保険診療から自由診療まで、幅広い診療に対応されているのですね。

ええ。美容の相談でいらっしゃった方でも、実は保険適用の範囲で対応できるケースがあるということを知らない患者さんは多いんです。例えば、保険でニキビの薬を処方できるのに、自費でニキビ治療の薬を購入されていたという方もいらっしゃるので、保険でできるところは保険でカバーし、それ以外の部分で自費診療が必要になった時にはご提案するかたちをとっています。

――ホームケアにも力を入れていると伺いましたが、具体的にはどのようなことをされていますか?

ニキビは保険診療で改善しても、再発しやすかったりするので、日々のスキンケアで予防していくことが大切です。そのため、患者さんが使っている化粧品を聞き、成分を確認して「この成分が入っているなら継続して」「これは肌に合っていないかもしれない」とご相談に乗りながらアドバイスをします。

私自身、学生時代はニキビ肌・オイリー肌で、あらゆるスキンケアを試してもニキビができてしまう「スキンケア難民」だったので、相談できる場所が大事だと感じています。

市販のものを試しても変化を感じられないという方には、小じわにはレチノールをご提案したり、アトピー肌の方には肌の状態を見ながら指導したり、日々の生活から改善したいところまで全体を見るようにしています。

――施術についても、その時の肌の状態によって柔軟に判断されているのでしょうか?

はい。美容医療全般に言えることですが、例えば毛穴の開きに対して引き締めるアプローチだけでは不十分で、皮脂の分泌が多いならそれを抑えるケアを併用しないと根本的な改善には至りません。
同じ施術の繰り返しにならないよう、原因を見極めることをすごく重視しており、看護師にも「肌の変化に気づいたらすぐに共有してください」と伝えています。例えば肝斑の状態に変化が見られると連絡を受けた場合には、「今日は施術を見送りましょう」と判断し、内服やスキンケアで落ち着かせてから再来院していただくなど、その時々の肌の状態に合わせた対応を大切にしています。

――現在は前田先生がドクター1人で、カウンセラーもいない体制だと伺いました。カウンセリングで工夫されていることはありますか?

基本的には私が一人でカウンセリングをしています。こだわりポイントは「強要しない」ことです。
例えば、ご予算に限りがある学生さんだったら、「一緒に無理のない範囲を探していこう」とお話をします。成人式や結婚式といった目標があるなら、「何日前にこれをして、ここで予約したらもう一回できるから、それを最後にしよう」と、ご予定に合わせたプランを一緒に組みます。そうやって信頼関係を作り上げることを大切にしています。

――患者さん一人ひとりに寄り添った診療をされているのですね。

そうですね。患者様の家族全員を診る気持ちでいるので、5歳のお子さんの切り傷から、旦那さんのシミのご相談まで、ご家族の皮膚で何か困った時のかかりつけ医でありたいですね。

キャリアの変遷:形成外科医から美容医療の世界へ

――前田先生のキャリアとしては、どのような道を辿ってこられたのでしょうか?

もともと形成外科医で専門医まで取ったのですが、そのタイミングで妊娠したんです。実家が近くにあるわけではない中で、子育てをしながら大学病院で当直もして働くのは現実的に不可能になり、医局を辞めました。

働く場所を自分で探さなければならなくなった時、形成外科を突き詰めていくと、「どうやったら綺麗な傷になるか、患者さんが満足するか」という、傷を治す機能の先にある「綺麗」を目指すようになると気づいたんです。「綺麗」をどうやって美容外科の先生は作っているんだろうと気になり、美容外科の分野に入りました。

最初に入ったクリニックでは、外科中心だったのですが、その後ご縁があり、皮膚科もやることになりました。美容皮膚科に入ってみると、赤みがどこから来ているのか、炎症を鎮めるには、肌の保湿が足りていないと改善が見込めないなど、理由を考えることも多くなってきて、日々のケアの大事さにたどり着きました。
保険診療の皮膚科と、自由診療の皮膚科の両方を学んだことが組み合わさって、今の診療スタイルに繋がっています。

突然のクリニック破産。患者とスタッフを守るための決断

――Instagramでも公表されていましたが、以前いらっしゃったクリニックで大変なご苦労があったとお聞きしました。

はい。前のクリニックでは、雇われ院長をしていて、オーナーが別で手広く事業をやっていました。私は前のクリニックの院長だったので、売上が立っていることはわかっていましたが、どれくらいコストがかかっているかは正確にはわからず、オーナーからは「赤字じゃないから大丈夫」と言われていました。

ところが、7月25日の夜中に突然、オーナーから「破産しました」とメールだけがきたんです。その前の週には、クリニックのメンバーで納涼会をして「今年も頑張ってね」と言われていたのに。その日は一睡もできなかったのを覚えています。

その後、電話もLINEもInstagramもすべて連絡がつかなくなり、翌朝弁護士に連絡したところ、オーナーの資金繰りに問題があったことがわかりました。

26日も普通に診療日だったので、朝、看護師も含めてみんなで私の家に集まったのですが、管財人の弁護士からは「破産手続きに入ったため、現時点では診療などの対応は難しい」と言われました。

もちろん、前日にはコース契約をされたばかりの患者さんもいました。

クリニックには立ち入りができない状態になり、当然、患者さんに連絡もできない状況でした。唯一できたのは、自分のInstagramで事情を書くことだけでした。その日一日すごく迷いました。

一番最初に考えたことは

「患者さんとスタッフを助けたい。私の前には約1,000人のコースを契約した負債者がいる。この方たちを助けられるのは私しかいない」

と決意をして、翌朝には、自分が全てを買い取って再オープンをさせる決断をしました。

前田千絵院長 診察室にて

自己資金での再建と、患者への救済措置

――7月25日の突然の破産から、別のクリニックとして再オープンをした11月末まで、4ヶ月しか経っていません。かなりの苦労があったんじゃないですか?

破産したクリニックを、このような形で再建した前例がほとんどないらしく、様々な弁護士さんに相談しましたが、断られてしまうことが多かったです。
それでもどうにかしないとという気持ちで、クリニックの経営コンサルや開業支援をしている会社を探して1つ1つ相談をしていたところ、とある企業の方に出会うことが出来て、そこから弁護士さんにも入ってもらって、なんとか4ヶ月後に開業までこぎつけました。

患者さんやスタッフを待たせていたので、本当はもっと早く開業をしたかったですけどね。

当然ですけど、患者様の個人情報であるカルテは、引き継ぎできないので、以前来てくださっていた患者さんにも、最初からカルテを作り直すかたちで始まりました。

――資金面ではどのような苦労がありましたか?

一番大変だったのはお金の面です。破産した場所には、国もお金を貸してくれず、銀行の融資は開業後。無給で待ってくれている看護師さんたちを更に待たせてしまうことになります。
なので、旦那に相談をしつつ、基本的に自己資金でクリニックを再オープンさせました。

――先生のこの使命感はどこからきているのでしょうか? やはり患者さんへの思いや、一緒に働いてくれているスタッフへの思いが一番ですか?

全部ですね。患者さんに対しても、スタッフに対してもそうです。そして何より、「ここを再オープンできるのは自分しかいないだろう」と思ったのが大きいです。

私はこれまでも、患者さんと真摯に向き合ってきたと思っていましたし、何も悪いことはしていないのだから、正直に伝えようと思いました。Instagramでも事情を説明し、「返金してほしい」という全てのDMに対して、「完全に返金できないのですが、新しいクリニックになったら救済措置を考えています」と丁寧にお伝えしたんです。

不満に思われた方もいらっしゃったかと思いますが、一生懸命に、丁寧に事情を説明すると納得してくださる方が多く、怒られたことは一度もありませんでした。

――その後、コースが残っていた患者さんへの救済措置はどうされたのでしょうか?

元々ご契約いただいていた料金に対して「20歳以上は2割、20歳以下は1割」をご負担いただいています。
最初は、一律2割のご負担いただくことを考えていたのですが、「子供が一生懸命働いて出したお金だからどうにかしてほしい」という言葉があり、若い方の負担を少しでも軽くしたいと思って20歳以下は1割に減らし、私が負担しようと思い減らしました。
患者さんには、正直に事情を説明したところ、ほとんどの方にご理解いただくことができました。

※ビューティークリニック注:本来は別クリニックとしてオープンをしているので、救済措置を取る必要はない

プライベートと教育方針:家族の支えと「褒める」子育て

――プライベートのお話もお伺いしたいのですが、オフの日はどのように過ごされていますか?

今、6歳で今年から小学校1年生になる子供がいて、休日は基本的に子供のために使っています。子供と一緒にショッピングセンターに行ったり、たまに家族3人で公園に行って体を動かしたりしています。

教育方針としては、「いろんなものを好きになってほしい、楽しいと思ってほしい」というのがあります。英語や勉強、体育もやりたいと思えるように、「すごいね」「絵本がここまで読めるようになったじゃん」と一緒に喜びを分かち合うようにしています。
「なんでできないの」と言うより、なるべく褒めて「これ楽しいね、分かるようになってすごいね」と言うと、自分で勉強してくれます。子供って褒めてほしいんだなとすごく思います。

逆に子供に救われた時もたくさんあります。

開業の準備を進める中で、大変なことも多く、あることで落ち込んで後ろに子供を乗せながら自転車で帰っていた時、後ろに乗っていた5歳の子供が「ママ頑張ってるよ。ママがやるってことはすごいと思うよ」と励ましてくれたんです。
この大変な状況を空気で感じ取ってくれていて、本当に救われました。

前田千絵院長 横浜センター北せせらぎ美容皮膚科

スタッフとの絆と、日々の診療で感じるやりがい

――今までやってきて、一番印象的だったエピソードは何でしょうか?

11月26日にオープンした時は、助けてくれたスタッフ、家族、弁護士さんやコンサルタントの方への感謝の気持ちでいっぱいでした。

その日は、多くの患者さんにお越しいただき、温かい言葉やお気遣いをいただいて、私自身も思わず涙が出ました。院内でいただいたアンケートにも温かいメッセージが多く、この4ヶ月大変だったけれど、患者さんのお役に立てていたんだなと心から思えました。

また、ある程度クリニックの運営が軌道に乗った時に、スタッフから「前田先生が頑張っているからですよ」と言ってもらえたのがすごく嬉しかったです。スタッフにも恵まれて本当に感謝しています。

読者へのメッセージ:正しい知識を持って、自分に合った美容医療を

――最後に、どのクリニックに行こうか悩んでいる方へ、メッセージをお願いします。

美容医療で悲しい思いをしてほしくない、という気持ちが一番強いです。

以前、美容医療の後遺症外来を見学させていただいたことがあるのですが、美容医療はSNSなどで、良い面が目立っていますが、その陰で悩んでいる方もたくさんいらっしゃる。
そうした現実を知り、自分ができる範囲で、お力になりたいと強く思いました。

だからこそ、患者さんご自身にも正しい知識をつけていただきたいですし、美容医療で不安を感じている方や、初めての美容医療で何が自分に合っているかわからないという方にこそ、ぜひご相談に来ていただきたいです。

※本記事に掲載されている施術(シミ治療・ニキビ治療・ヒアルロン酸注入・肌育注射・糸リフト・ボトックスなど)は自由診療を含み、保険適用外のものがあります。施術の効果・持続期間には個人差があります。主なリスク・副作用として、内出血・腫れ・痛み・赤み・左右差・感染・アレルギー反応などの可能性があります。施術を検討される方は、医師の診察・カウンセリングを受けたうえでご判断ください。

※本記事の内容はドクター個人の見解・経験に基づくものであり、効果を保証するものではありません。

前田千絵院長 読者へのメッセージ

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