業界動向

ハリウッドで進む「フィラー離れ」と男性施術の拡大—米業界誌が2026年の美容トレンド7項目を分析

米エンタメ業界誌『ハリウッド・リポーター』が2026年の美容医療特集「ハリウッドの新しい顔」を公開し、日本語版が2026年7月27日に配信しました。ヒアルロン酸フィラーの「やりすぎ」への反動、男性の美容施術の拡大、AIフィルターが変えた美の基準など7つのトレンドが挙げられ、いずれも日本の美容医療にも通じる論点を含んでいます。

本記事は、The Hollywood Reporter Japanが2026年7月27日に配信した特集記事(米『ハリウッド・リポーター』の抄訳)をもとに、日本の読者に関わりの深い論点を編集部が要約したものです。米国の美容医療市場を対象とした内容であり、日本の診療実態や規制とは前提が異なる点にご留意ください。

① フィラーの「やりすぎ」への反動が広がる

特集で大きく扱われたのが、ヒアルロン酸フィラーによる若返り施術を見直す動きです。クリスティン・デイヴィス、コートニー・コックス、サイモン・コーウェルら複数の著名人が、施術後の違和感や後悔を公言し、フィラーを除去したことを明かしています。

背景として指摘されているのが、注入部位から充填剤が移動する「マイグレーション」と、体内に想定以上の期間残留する可能性です。同誌は、近年の研究でフィラーが2年以上、場合によっては15年間残存していた例が報告されていると紹介しています。効果が薄れたと思い込んだ人が追加注入を重ねることで、不自然な膨らみや炎症につながる恐れがあるとしています。

ただし専門家はフィラーそのものを否定しているわけではなく、唇やほうれい線などへの少量の注入は、適切な施術であれば選択肢になり得るとしています。問題視されているのは「万能な若返り手段」とみなした過剰な使用です。

② 男性の美容施術が拡大、重視されるのは「自然さ」

外見を最大限に磨く「ルックスマキシング」の流行を背景に、男性の美容施術が急速に広がっていると報じられています。特に需要が高いのは顎のラインを整える施術と、加齢による目元の変化に対応する眼瞼形成術です。

一方で、上まぶたの手術で皮膚や脂肪を取りすぎると目が不自然に丸くなるため、たるみを適度に残し「施術したと気付かれない自然さ」を重視する医師が評価されるとしています。また、SNSで話題の「顎トレーニング」に医学的根拠はなく、専門家は効果を否定しています。

同誌は、男性の美容整形への偏見が依然として根強く、女性以上に施術を公表しない傾向があるとも指摘しています。

③ AIフィルターが変えた「なりたい顔」の基準

SNSやAIフィルターの普及により、加工後の自分の写真を持参して「あと少しでこの顔になれる」と相談するケースが増えていると、著名人を担当する皮膚科医らが証言しています。しかし実際には、加工画像の多くは物理的に再現できないといいます。

こうした状況を受けて、「写真映えする顔」ではなく、自然光やイベント会場、高精細動画などあらゆる環境で「自然に見える顔」を目指す考え方が重視されるようになりました。クリニックでは照明やカメラを使って顔を多角的に分析し、現実の見え方を基準にカウンセリングを行う例が紹介されています。

また特集では、ミレニアル世代やZ世代の俳優が似た顔立ちに近づく現象を、AIが生成する画一的な顔になぞらえた「スロップフェイス」という語で取り上げています。ネット上の過剰な容姿批判やリモートオーディションの浸透が、その一因として挙げられました。

④ 「銅ペプチド」自己注射のリスクに警鐘

肌のハリや発毛への働きが期待される「銅ペプチド(GHK-Cu)」が一部で人気を集めていますが、規制のないオンライン市場で「研究用化学物質」として流通する注射用製剤を自己注射する人が増えていると報じられています。

同誌によれば、現時点の研究で銅ペプチド自体は組織修復や抗炎症に関わる成分と評価されており、専門家は「問題は成分そのものではなく、安全性が確認されていない製剤を自己判断で注射すること」にあると警告しています。品質が不透明な製品には大きなリスクがあり、信頼できる医療機関で適切な指導のもと、安全性が確認された製剤を使うことが重要だとしています。

このほか特集では、約16万ドル(約2,600万円)のウェルネス機器の体験レポートや、住環境から健康を見直す「長寿住宅」の広がりなど、美容の枠を超えたトレンドも取り上げられています。

編集部の視点:日本の施術検討にどう活かすか

海外セレブの事例は日本の読者にとって遠い話に見えますが、フィラーの残留・移動や、加工画像を基準にした施術希望といった論点は、日本のクリニックでも実際に起きています。前回のニュースで紹介した国内調査でも、施術後の不満として最も多かったのは「効果が一時的で元に戻ってしまった」ことでした。効果の持続性や繰り返す前提での費用感を、カウンセリングの段階で具体的に確認する重要性は共通しています。

また、個人輸入した注射用製剤を自己使用するリスクへの警鐘は、日本でも国民生活センターや厚生労働省が繰り返し注意喚起している論点です。医薬品の個人輸入は健康被害が生じても公的な救済制度の対象外となるため、医療機関を通さない施術は避けるのが基本です。

Beauty Clinicでは、施術ごとの特徴や医師の経歴・資格を事実ベースで比較できる情報を掲載しています。カウンセリングで確認しておきたい項目をまとめた質問リストも公開していますので、医師選びの参考にご活用ください。

出典

※本記事は公表情報を出典を明記して要約したものです。情報は掲載時点のものであり、最新の内容は各出典・各クリニックの公式サイトでご確認ください。美容医療の多くは自由診療(公的医療保険の適用外)であり、施術の効果・リスクには個人差があります。

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